性同一性障害患者の生活支援 年内にも岡山大グループ ボイストレーニング、化粧講習…
岡山大大学院保健学研究科の中塚幹也教授らの研究グループは、心と体の性別が一致しない性同一性障害(GID)の患者の日常生活を支援するプログラム作りに取り組んでいる。ニーズ調査を基にMTF(体は男性で心は女性)の患者を対象にしたボイストレーニングや化粧の仕方の講習など医学的治療では補えない支援を年内にもスタートさせ、社会になじみづらいと悩む患者のQOL(生活の質)向上を目指す。
昨年12月、岡山大病院(岡山市北区鹿田町)の外来患者約50人を目標に聞き取り調査を開始。日常生活で困っていることを治療の段階や年代別に分析し、支援を検討する。同大によると、GIDの治療と生活支援を総合的に行う取り組みは全国的にも珍しいという。
同大は1999年にGID患者のためのジェンダークリニックを同病院に開設。精神、産婦人、泌尿器、形成外科などが連携して治療に当たり、性別適合手術は年間50~60例を手掛け、ホルモン療法などの患者も含めると約500人が通院している。
中塚教授によると、「見た目は女性なのに、男性のような声が出てしまう」「下着の選び方が分からない」など、MTFの患者からの相談が多いという。プログラムの具体的な支援としては、言語療法士によるボイストレーニング▽下着や洋服の選び方▽化粧などの美容アドバイス▽交流の場の提供―などを想定している。
中塚教授は「治療によって外見上は心の性に近づけても、声や生活様式などはすぐには変えられず、精神的に苦しむケースは多い。患者のニーズを把握した上で、できるだけ早い支援開始につなげたい」と話している。
2010年1月26日 山陽新聞
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