性同一性障害への対応 全国の教育現場手探り
性同一性障害への対応 全国の教育現場手探り
性同一性障害(GID)の子どもにどう対応するべきか、全国各地の教育委員会や学校現場などで、手探りの取り組みが進んでいる。GIDと診断された兵庫県播磨地方の小学生男児(11)を、中学校でも女子生徒として受け入れることを決めた地元教委は、支援会議を設置。GIDなど、性的少数者についての冊子をまとめた奈良教職員組合には、県外からも問い合わせがあるという。
播磨地方の男児の地元教委では、男児以外のGIDの児童・生徒への対応も想定した支援対策会議を立ち上げた。具体的な対応を示すマニュアルの策定も予定する。
GIDの小学生男児を女児として認めた例がある埼玉県内の教委は、3月に校長やカウンセラーら約10人のプロジェクトチームを発足させた。年内にもGIDの児童・生徒の対応例をまとめる。
内容は▽男女別のグループ分けや着替え、トイレなどに配慮する▽周囲の児童に、一人一人の個性の違いを教える‐などを想定しているという。
神戸市は、中学1年に配る人権教育資料の中で、GIDや同性愛など性的少数者の記述を拡充。担当者は「当事者が悩みを周囲に言いやすい空気づくりが必要」と話す。
岡山県教委や大分県も専門医を招いた教員研修、学校への出前講座などを実施したという。
一方、学校現場でも教職員による取り組みが進む。5人のGIDの生徒が在籍する大阪府立の通信制高校では、心の性に合わせた通称名を使う。教員研修も行い、GIDの子どもの集まりには教員が引率する。GIDの生徒対応についての内規を設けている大阪の私立高校もあるという。
奈良教組は2月、GIDや同性愛などの知識や対応策をまとめた「教職員のためのセクシュアル・マイノリティサポートブック」を作成した。同県内の学校に配布したが、県外からも反響があり再版を重ねている。
(中島摩子)
神戸新聞
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